高い自信はパフォーマンスをアップさせるのか?

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高い自信はパフォーマンスをアップさせるのか?

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こんにちは、熊月カナタです。

今回は自信が自分自身のパフォーマンスを上げてくれるのか問題についてお話していこうかと思います。

学校などの教育現場や会社内などの社会では「自信」についてかなり高く評価されている傾向がありますよね。「自信があれば成功する」、「もっと自信をもって物事にあたれ!」なんて言葉はよく耳にしますよね。

でもこの「自信」って本当に役立っているの?と考えたことはありませんか?
今回のお話では過大評価されがちなこの問題について調べてくれたロチェスター大学の研究を基に解説していきます。

自信と能力の関係

自信を持つと達成感が得られやすくなる

様々な人達から、やれ自信を持てだの、自信が無いと失敗するぞなどと言われたりしますが、はたしてこの「自信」というものはどれだけ役立っているのでしょうか?

結論の一つとしては、自信を持つことで物事に対する達成感が高くなる。というものがあります。

こちらの結論は物事に対して自信を持っていると、その物事を行った時に達成感や満足度が高くなるというものです。
もう少しわかりやすく例を出してみましょう。

  • ・とある仕事を任されたA君はその仕事に対して自信たっぷりだった。そしてその仕事を進め、普通に終わらせることが出来た。A君は仕事を終えたことでとても達成感を覚えた。

この例では自信を持った人が仕事を達成して大きな満足感を得ています。
ここで重要なのは大きな満足感を得ているという点で、自分や自分の行う行動に対して自信を持っていると、行った行動や体験する物事に対して大きな達成感や満足感を得られるのです。

ここで面白いところが、行った物事の成果が優良でなかったり、並な結果でしかなかった場合においても、本人は高い満足度を得られるのです。

つまり、自身を持って物事を行うことで手軽なメンタルハックになるといった感じになるのでしょうか。
しかし気を付けたいのは主観が客観的な事実に比例していない点でして、自分に自信を持つあまりに何かしら問題点や改善点を見つけにくくなってしまうので注意したいところです。

自信と成果には相関性がない

上記でも少しだけ説明しましたが、自信があったとしてもその人本人の能力や成果には何の影響が無かったことが明らかになっています。

「自分は勉強ができる!」と思っている生徒であっても、実際の学業成績を見てみればそうでもないという結果が出ています。主観の自信と客観的な成績に差があったということですね。

また、自信を持っている生徒とそうでない生徒に様々なレベルの問題を解かせると同時に自信レベルを測った調査では、自信がテスト結果に影響を与えることが無かったこともわかっています。

粘り強さを与えてくれる

能力に影響を与えていないならどうして自信を持つことが推奨されているの?という疑問が湧きますよね。
こちらに関しては、自信が努力に与える影響がよく見られた結果なのだと思います。

人間は自信を持っていると失敗に直面しても諦めない粘り強さを獲得するようです。

ある実験では参加者に指定された戦略を実行してもらい、一部の人々にはその戦略が有用である事を説明し、一方にはその戦略が有用でないということを説明しました。
この実験で分かったのは、戦略が有用であると説明を受けたグループにいた自信レベルの高い人達は粘り強く挑戦し続けたのに対し、自信レベルが低い人達はそれより早く諦めてしまったそうなのです。
自信のある人は信じ続けて挑戦する事を諦めなかったのですね。
しかし、戦略が有用でないと説明を受けたグループは真逆の結果になっており、自信レベルの低い人の方が継続率が上がって、自信レベルの高い人は継続率が低かったそうなんです。

つまり、自信レベルの高い人は低い人に比べて粘り強さが強い一方、行っている行動や戦略が適当でない場合において方針を変更して新たな可能性に挑戦する能力が僅かに高いことが示されたということです。

努力や勉強する場合では、自身を持つことはプラスに働くのかもしれませんね。

人間関係においてはマイナスに働く

「自信がある人っていいなぁ……」と思われがちですが、こと人間関係において自信レベルの高さはマイナスに働くことがあるそうなのです。

それは集団行動におけるリーダーシップについてです。
自尊心の高い人はよく発言をし、自分の考えをアピールする傾向にありますが、自分の考えに合わない人を疎外し、グループ内での差別や対立を引き起こす可能性があるそうなのです。

また、自身のある人はリーダーシップがあると思われがちですが、実際に客観的なデータを取ってみると人のある人に優位な数値にはならなかったそうで、これは自身のある人がリーダーシップがあるということが無い事を示しています。

友人や同僚などの交友関係においてはハッキリとマイナスとなることがわかっており、自信レベルの高い人は「私は皆とうまくやれている!」と考えていたとしても、客観的にはそんなことはなく、むしろ逆の結果を示してしまったそうなんです。

自信のある人ない人を比べた場合、自身の無い人の方が他者から評価される傾向にあり、自身のある人は対話においてプライドが傷つけられた場合、敵対的になって否定的な反応を引き起こす可能性があるのだそう。そして自分自身について高尚な、誇張した見方をしているため、他者を見下したり疎外する傾向があったんだそう。

その結果、長期的に見た場合自信レベルの高い人は人に好かれにくくなるらしいのです。

まとめ

というわけで今回は自信が与える影響についてお話してきました。

まとめると、自信がパフォーマンスに影響を与えることは無いという結論でして、もし与えていたとしても非常にわずかな影響しかないという結果でした。
しかし、メンタル面では有効に働くこともあり、何かに打ち込んでいる時や何かを達成した後などの幸福度は高くなるそうなので、精神面においてはプラスに働くようです。

また、何かを続けたいと思った時に、その物事に対して自信を持っていると継続力が上がるみたいなので、有効活用していきたいですね。
勿論、自信が高過ぎると人間関係においてデメリットの方に働いてしまうので、なるべく外に出さず己の内側に自信はしまっておいた方が良いのかもしれません。

それでは今回はここまで、また次回お会いしましょう。

参考文献:Does High Self-Esteem Cause Better Performance, Interpersonal Success, Happiness, or Healthier Lifestyles?

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心理学